監修:福岡山王病院 膵臓内科・神経内分泌腫瘍センター長 伊藤鉄英 先生

【 panNET(膵神経内分泌腫瘍) 】でスーテント®を服用される患者さんへ
効能又は効果によって服用方法が異なるため、必ず“効能又は効果がご自身の疾患と一致している”ことをご確認の上、ご覧ください

「スーテント®」の服用にあたって

スーテント剤形イメージ

「スーテント®」は、「膵神経内分泌腫瘍」と診断され、根治的にがんの部分を切除できない患者さんに有効とされています。
ただし、過去に「スーテント®カプセル12.5mg」に含まれる成分で過敏な反応を経験したことがある人、妊婦または妊娠している可能性がある女性は服用できません。
「スーテント®」を服用いただく際は、患者さんご本人やご家族にお薬のことをよくご理解いただき、服用することに同意していただく必要があります。

「スーテント®」は体の中でどのように働くの?

「スーテント®」は分子標的治療薬と呼ばれ、2つの働きでがんの治療に効果を発揮します。

1.がん細胞の増殖を抑えて分裂を遅くします

はじめはたった1つのがん細胞でも、細胞分裂を繰り返すことによってどんどん増殖し、大きながんのかたまり(腫瘍)を形成していきます。そして、周りの正常な組織に入り込んで組織を壊したり(浸潤)、血管やリンパ管を通って離れたほかの臓器などに転移して増殖したります。また、がん細胞の分裂のスピードは正常細胞に比べてとても速いことが知られています。
「スーテント®」にはそのようながん細胞の増殖を抑えて、分裂のスピードを遅らせる働きがあります。

2.がんに栄養を運ぶ血管の形成を抑えて作らせないようにします

がんが大きくなっていくためには、たくさんの栄養が必要です。最初はもともと自分の周りにある血管から栄養を摂取し増殖をしていきますが、そのうちそれだけでは足りなくなります。そこで、がんはさらに大きく成長するために、自分専用の血管を新しく形成作り出していくのです(⾎管新⽣)。

「スーテント®」には、こうした新しい血管の形成を抑えて作らせないようにする働きもあります。

栄養を運ぶルートがなくなれば、がんはそれ以上大きくなることができません。つまりがんを兵糧攻めにし、餓死させることができるのです。

「スーテント®」による治療中に気をつけること

バランスの良い食事を心がけましょう

バランスの良い食事を心がけましょう

体力を維持するために、栄養バランスのとれた食事を心がけましょう。ただし、食欲がないときは、無理をせずからだの調子に合わせて食べたいもの、食べられるものから少量ずつゆっくりとるようにしましょう。
グレープフルーツジュースは薬の効き目を強める可能性があるため、治療中は避けてください。

規則正しい生活を送りましょう

規則正しい生活を送りましょう

体調を維持するため、規則正しい生活を送り、十分な睡眠時間をとるようにしましょう。

適度な運動は体力の維持・回復を助け、気分転換にもなります

適度な運動は体力の維持・回復を助け、気分転換にもなります

担当医と相談の上、無理をしない範囲でからだを動かすようにしましょう。また、治療中の外出についても無理のない範囲で行いましょう。

血圧を測定しましょう

血圧を測定しましょう

スーテント®は、血圧に影響する可能性もある薬なので、家庭で血圧を毎日欠かさず測定する習慣を身につけてください。

出血に気をつけましょう

出血に気をつけましょう

患者さんによっては少し出血しやすくなったり、出血が止まりにくくなったりします。
歯の治療や痔の治療、そのほかの手術が予定されている場合は、スーテント®の服用開始前に治療を行ってください。
服用中はけがをしないように注意してください。

そのほかにも気になる症状があれば医療スタッフに相談しましょう

スーテント®治療中は、上記以外にも副作用があらわれることがあります。副作用のあらわれ方には個人差があり、どんな症状がいつ頃あらわれるかは患者さんによって異なります。
治療中には適宜診察を行い、副作用が出ていないかを確認しますが、中には重症化して危険なものもあります。少しでも気になる症状があらわれた場合には、すぐに担当医や看護師、薬剤師などの医療スタッフに相談してください。

【 panNET(膵神経内分泌腫瘍) 】でスーテント®を服用される患者さんへ
効能又は効果によって服用方法が異なるため、必ず“効能又は効果がご自身の疾患と一致している”ことをご確認の上、ご覧ください

「スーテント®」の服用方法

  • スーテント®は12.5mgのカプセル状の飲み薬で、水と一緒に1日1回3カプセルを服用します。カプセルのまま飲むようにしてください。
  • 副作用が出た場合は、担当医の指示に従って、副作用の症状、重症度に応じて減量または休薬することがあります。
  • 担当医が必要と判断した場合、患者さんと相談の上1日1回50mgまで増量されることがあります。
  • すでにほかの病気にかかっていて、ほかのお薬を服用している場合は、事前に担当医または薬剤師に相談してください。
薬剤名簿と影響が記載されています。

上記以外の薬剤などと併用する場合も注意が必要なときがありますので、担当医または薬剤師に相談してください。

2023年2月作成 SUT47M001A