膵神経内分泌腫瘍(panNEN)とは?

神経内分泌腫瘍(NEN)のうち、特に膵臓の内分泌細胞にできるものを膵神経内分泌腫瘍といい、神経内分泌腫瘍をあらわすNENに、膵臓をあらわすpanをつけて、panNENと呼びます。 膵臓の働きの1つは消化です。もう1つの働きは、膵臓にあるランゲルハンス島でみられる、さまざまな内分泌細胞からのホルモン分泌のコントロールです(図1)。
膵臓の内分泌細胞にできるpanNENは、膵臓の管にできる膵がんとは異なるため、病気の経過や治療法なども変わってきます。

図1 ランゲルハンス島の働き

panNET*の治療は?*panNENのうち、⾼分化型のNETに分類される腫瘍。

panNETの治療選択

下記のフローチャート(図2)をベースに治療選択が行われます。基本的に、panNETに対しては切除が基本であり、まずは腫瘍の切除ができるかどうかを検討します。腫瘍の切除は、腫瘍が最初に発生した原発巣だけでなく、転移巣についても併せて切除可能かどうか評価します。腫瘍の切除が不可能と考えられた場合は、主に薬物治療が行われます。その際、ホルモン症状の有無によって治療法は異なります。

図2 panNETの治療選択

切除不能のNETに対する薬物療法

ホルモン症状がある機能性NETに対しては、その症状を抑えることが必要です。NETではホルモンが過剰に分泌することによる症状に対して、抗ホルモン剤が用いられます(表1)。 また、ホルモン症状の有無にかかわらず、腫瘍の増大を抑えることも大切で、抗ホルモン剤のほか、分子標的薬、細胞障害性抗がん剤などが用いられます(表2)。 スーテントなどの分子標的薬は、がん細胞の増殖や浸潤、転移に関わる分子を標的にしてその働きを抑えるもので、正常細胞へのダメージを少なくして、がん細胞により大きく作用するように工夫されています。

表1 ホルモン症状の緩和 表2 腫瘍増大の抑制

NETの肝転移に対する治療

panNETでは、肝転移の有無が予後に大きな影響を及ぼします。 肝転移がみられた場合、予後の改善を見込んで、転移巣である肝切除術が行われることがあります。主な切除術に、肝部分切除、肝葉切除、腹腔鏡下肝切除術があります(図3)。 肝切除術を行うことが難しい場合、前述した薬物療法の適応となりますが、肝動脈塞栓療法(TAE)も行われることもあります。肝臓の腫瘍は、肝動脈から栄養を取り入れながら増殖していきます。TAEは、腫瘍が栄養を取り入れている動脈を塞ぐことで、腫瘍への栄養補給を断ち、その増殖を抑える治療法です(図4)。

図3 主な肝切除術 図4 肝動脈塞栓療法(TAE)

監修:福岡山王病院 肝臓・胆のう・膵臓・神経内分泌腫瘍センター⻑ 伊藤 鉄英 先生