「がん」って何?

GIST(gastrointestinal stromal tumor;消化管間質腫瘍)は、悪性腫瘍、つまり「がん」の仲間です。がんという言葉は日々あちこちで目にするようになりましたが、いったいどのようなものなのでしょうか。

私たちの身体を作り、その働きを支えているのは、60兆個もの細胞です。これらの細胞は一定のサイクルで新旧入れ替わりながら、生命の維持に必要な役割を果たしています。がん細胞は、こうした正常な細胞の遺伝子に傷がつくことがきっかけとなって発生します。その後、生活習慣や環境汚染などさまざまな要因が作用しながら、長い期間をかけて性質(たち)の悪いがん細胞へと変わっていくのです。

細胞ががん化すると、周囲の状況を無視して自分勝手な行動をとるようになります。正常な細胞は身体に合わせて分裂が制御されていますが、がん細胞はこの制御を無視してどんどん増え続け、周りの正常な組織に侵入していきます(浸潤)。さらに、血管やリンパ管を通って体のあちこちに移動し、そこで増殖(転移)をはじめることもあります。こうした無法者ぶりこそが、がんが恐れられる本当の理由といえるでしょう。

GIST(消化管間質腫瘍)はどんな病気?

GIST(消化管間質腫瘍)のイラスト

GISTは、胃や腸(消化管)の壁に発生する腫瘍です。消化管の壁の筋肉の層にある、特殊な細胞(カハール介在細胞)が異常に増殖し、腫瘍を形成します。消化管であればどこの臓器でも発生する可能性がありますが、胃あるいは小腸で発見されるケースが多くを占めています。

胃がんや大腸がんなどといった、いわゆる普通の消化器がんは消化管の粘膜から発生するのに対し、GISTは粘膜の下にある筋肉の層から発生するという大きな違いがあります。そのため、同じ消化管内の悪性腫瘍でも、消化器がんとGISTでは性質が異なっています。

なぜGIST(消化管間質腫瘍)になるの?

GISTは、腫瘍細胞の細胞膜にあるKIT、あるいはPDGFR-αというたんぱくの異常が主な原因で発生することがわかっています。正常なたんぱくは、必要に応じて特定の物質の刺激を受けたときにだけ細胞の増殖を促しますが、異常が起こると刺激がなくても増殖の合図を出し続けます。これを放置しておくと、腫瘍がどんどん成長してしまうことになるわけです。

またGISTは胃がんや大腸がんなどの普通の消化器がんに比べると、周囲の組織への浸潤があまり見られない傾向があり、本人や家族が「おかしい」と気づくような明らかな症状は現われにくいものです。そのため診断が遅れ、病気が進んでから発見されることも少なくありません。

GIST(消化管間質腫瘍)はどうやって治療するの?

GISTの最も有効な治療法は、外科手術による病巣の切除です。ただし、再発・転移した場合や、手術ができない場合は、薬による治療を行います。

GISTに対する効果が高い薬として、分子標的薬が用いられています。分子標的薬はがんの増殖にかかわっている分子だけを攻撃するため、正常な細胞に大きなダメージを与えにくい特徴があります。その結果、副作用を少なくできるという大きな長所があります。

再発・転移した場合や、手術ができないGIST の治療に有効とされている薬は、イマチニブです。また、イマチニブ抵抗性のGISTにはスニチニブが、イマチニブ及びスニチニブ抵抗性のGISTには、その他の分子標的薬が有効とされています。いずれの薬剤も、がん細胞の増殖過程における指令系統を分子レベルで阻止します。

スーテント®の正式な効能・効果は「イマチニブ抵抗性の消化管間質腫瘍」です。

監修:富山大学大学院医学薬学研究部・医学部内科学第三講座 教授  杉山 敏郎 先生