監修:藤⽥医科⼤学病院 臨床腫瘍科 准教授 澤木 明 先生

主治医に相談しているイラスト

副作用と主な症状について

スーテント®による治療中にあらわれることがある副作用と、その症状について説明します。ここに記載した症状やいつもと違う症状に気づいたら、すぐに担当医や看護師、薬剤師に相談しましょう。

特に注意を要する副作用
心不全、左室駆出率低下
スーテント®の投与により、心臓のはたらきが障害され、息切れや動悸などの症状があらわれることがあります。

主な症状

息切れ、動悸、疲れやすい、咳、足のむくみ、体重が増える
息を切らしながら会談を上るイラスト
QT間隔延長、心室性不整脈
スーテント®の投与により、脈に異常がみられ、めまい、動悸などの症状があらわれることがあります。

主な症状

めまい、動悸、胸の不快感
高血圧
スーテント®による治療中に、めまい、頭痛、肩こりがあらわれた場合は、血圧が高くなっている可能性があります。
スーテント®による治療で、高血圧となることがあるため、定期的に血圧の検査を行います。
治療中は、家庭用血圧計を使って自分でも血圧を測る習慣をつけ、診察時に担当医に血圧の状態を伝えるようにしましょう。

主な症状

めまい、頭痛
血圧を測っているイラスト
出血
スーテント®による治療中に、出血や傷ができやすくなったり、出血するとなかなか止まらないといった症状があらわれることがあります。治療中は、激しい動作の仕事やスポーツは避け、転んだりからだをぶつけたりしないようにしましょう。

主な症状

あざができる、歯ぐきの出血、鼻血、出血が止まらない、傷ができやすい
鼻血を抑えているイラスト
間質性肺炎
スーテント®による治療中に、発熱、咳、息切れ、息苦しさなどがあらわれた場合は、肺の間質という部分に炎症が起こっている可能性があります。これは、間質性肺炎という副作用です。炎症が進むと空気を十分に取り込むことができなくなり、命に危険を及ぼす恐れがありますので、すぐに治療が必要です。

主な症状

発熱、咳(たんが絡まない咳)、息切れ、息苦しい、からだがだるい
咳が出てしまっているイラスト
骨髄抑制
スーテント®による治療中に、血液の成分を作る骨髄の働きが弱くなることがあります。熱が出る、青あざができる、血が止まりにくい、動悸、息切れなどの症状がみられます。

主な症状

発熱、寒気、鼻血、歯ぐきの出血、あざができる、血が止まりにくい、頭が重い、動悸、息切れ
ソファの上で寒さで震えているイラスト
甲状腺機能障害
ホルモンなどを分泌する臓器である甲状腺の機能に変化が起こり、血液中の甲状腺ホルモンが少なくなったり多くなったりすることがあります。治療中は定期的に甲状腺機能検査を行います。

主な症状

からだがだるい、むくみ、寒がりになる、甲状腺のはれ、汗をかきやすい、体重が減る、胸がドキドキする、手のふるえ、不眠
副腎機能不全
副腎の機能に変化が起こり、血液中の副腎皮質ホルモンの分泌が適切に行われないことがあります。治療中は定期的に副腎機能検査を行います。

主な症状

からだがだるい、意識がうすれる、吐き気、食欲不振、血圧低下
熱を測っているイラスト
てんかん様発作、可逆性後白質脳症症候群
頭痛、けいれん、意識がもうろうとする、視力障害、血圧の上昇などがみられる場合には、脳で障害が起こっている可能性があります。これは、可逆性後白質脳症症候群とよばれる副作用です。

主な症状

頭痛、けいれん、意識がもうろうとする、目が見えにくい、血圧上昇、ふらつき、言葉が出しづらい、物忘れ
声が思うように出なくて焦っているイラスト
消化管穿孔しょうかかんせんこう
吐き気や嘔吐、腹痛などの症状が激しい場合には、胃や腸に穴があいている可能性があります。

主な症状

吐き気、嘔吐、激しい腹痛
吐き気を催しているイラスト
急性膵炎
膵臓に炎症が起こり、腹痛、発熱、吐き気、嘔吐などの症状がみられることがあります。

主な症状

吐き気、嘔吐、胃のあたりがひどく痛む、背中の痛み、お腹が張る
感染症
抵抗力が低下し、風邪をひきやすくなり、熱が出るなど感染症にかかりやすくなります。外出、人ごみはなるべく避け、外出するときはマスクをつけましょう。

主な症状

発熱、寒気、からだがだるい
肺塞栓症、深部静脈血栓症
胸の違和感や痛み、発熱があると、肺に酸素や栄養を送る動脈が血のかたまりでつまる肺塞栓症が起こっていることがあります。足にはれや痛みがある場合、動脈や静脈で血のかたまりができたり手足の血管がつまる深部静脈血栓症が起こっていることがあります。

主な症状

胸の痛み、突然の息切れ、発熱、皮膚や手足の爪が青紫~暗紫色になる、唇が青紫色になる、足のむくみ・痛み
突然の痛みを感じているイラスト
播種性血管内凝固症候群はしゅせいけっかんないぎょうこしょうこうぐん(DIC)
青あざができる、鼻血、便や尿に血がまじるなどの出血症状や、めまい、頭痛、意識の低下などがみられる場合、血が著しくかたまりやすくなっているために臓器に異常がみられる播種性血管内凝固症候群(DIC)が起こっていることがあります。

主な症状

あざができる、鼻血、歯ぐきの出血、血尿、便に血がまじる、意識がうすれる、息切れ、動悸、尿の量が減る、皮膚が黄色くなる、白目が黄色くなる
血栓性微小血管症
鼻血、歯ぐきの出血、尿に血がまじるなど血が出やすくなっている場合、細い血管に血のかたまりができて、血液の成分に異常がみられる病気が起こっている可能性があるため、注意が必要です。

主な症状

血が出やすくなる、鼻血、歯ぐきの出血、あざができる、血尿
鼻血を抑えているイラスト
一過性脳虚血発作(TIA)、脳梗塞
突然の手足のまひやしびれ、しゃべりにくい、めまい、ろれつがまわらなくなる、などは、一過性脳虚血発作、脳梗塞の症状としてみられることがあります。

主な症状

手足のまひ、しびれ、しゃべりにくい、めまい、頭痛、嘔吐
めまいが起こっているイラスト
肝不全、肝機能障害、黄疸
肝臓が障害を受けて、機能が低下することがあります。疲れやすい、からだがだるい、白目や肌の色が黄色くなる、からだがかゆいなどの症状がみられることがあります。

主な症状

白目や肌が黄色くなる、かゆみ、尿の色が濃くなる、お腹が張る、急激に体重が増える、血を吐く、便に血がまじる、疲れやすい、からだがだるい、吐き気、食欲不振
鏡で自分の目を確認するイラスト
急性腎障害
腎臓の働きが低下することがあります。食欲がなくなる、嘔吐、からだがだるい、むくみなどの症状がみられることがあります。

主な症状

尿の量が減る、むくみ、からだがだるい
ネフローゼ症候群
急性腎障害が進行すると、血液中のたんぱく質や脂質の値が高くなり、ネフローゼ症候群と呼ばれる疾患になります。

主な症状

尿の量が減る、息苦しい、尿が赤くなる、むくみ、からだがだるい、体重が増える
横紋筋融解症おうもんきんゆうかいしょう、ミオパシー
スーテント®の投与により、筋肉の細胞に異常がみられる横紋筋融解症やミオパシーがみられることがあります。

主な症状

手足のこわばり、しびれ、脱力感、筋肉の痛み、尿が赤褐色になる、筋力の低下
手が痺れてしまっているイラスト
腫瘍崩壊症候群
スーテント®の投与により、がんが急速に小さくなるとからだの中の電解質のバランスがくずれ、尿の量が減るなどの症状がみられることがあります。

主な症状

意識がうすれる、尿の量が減る、息苦しい、息切れ
皮膚粘膜眼症候群、多形紅斑
38℃以上の高熱、全身の皮膚が赤くなる、目が開けづらい、のどが痛むなどの症状がみられた場合は、皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)、多形紅斑が起こっている可能性があります。

主な症状

発熱、目の充血やただれ、唇や口内のただれ、斑点ができる、関節やのどの痛み
急性胆嚢炎
腹痛、吐き気・嘔吐、熱が出るなどの症状があるとき、胆嚢という臓器に炎症が起こっている可能性があります。

主な症状

発熱、寒気、白目が黄色くなる、腹痛、吐き気、嘔吐
腹痛を抑えるイラスト
その他の副作用
下痢、悪心、嘔吐等の消化器症状
治療中に下痢や吐き気、お腹の痛みが起こることがあります。脱水にならないように、水分を補給するようにしましょう。

主な症状

軟らかい便、水のような便、吐き気、むかつき、腹痛
水分補給をするイラスト
疲労
治療中に、からだがだるい、力が入らない、疲れがとれないといった症状があらわれることがあります。無理のない範囲で仕事や家事を行い、十分な休養をとりましょう。

主な症状

からだがだるい、力が入らない、疲れがとれない
休息をとるイラスト
口内炎、歯肉炎等
口の中がざらざらと焼けた感じがして痛くなることや、粘膜が赤くなってはれや白い斑点ができることがあります。日頃から口の中を清潔に保ち、うすめたうがい薬などで、こまめに口の中をすすぐようにしましょう。

主な症状

口の中がざらざらする、食べ物や飲み物がしみる、粘膜が赤くなる、口の中がただれて痛くなる、出血が起こる
毛髪・皮膚の色素脱失・変色、脱毛
髪の毛が白くなる、薄くなる、肌の色が黄色くなるなどがみられることがあります。気になる症状がみられたら、シャンプーやせっけんは刺激が弱いものを使用しましょう。

主な症状

髪の毛が白くなる・抜ける、肌の色が黄色くなる
手足症候群
手足を中心にしびれや痛み、皮膚の症状(赤くなる、水ぶくれ、ひび割れ)、爪の形や色が変わるなどの症状があらわれる手足症候群という副作用がみられることがあります。

主な症状

手足のしびれ、痛み、皮膚が赤くなる、水ぶくれができる、ひび割れ、爪の形や色が変わる
脚のひび割れを確認しているイラスト
めまい、傾眠、意識消失等の神経系障害
めまい、意識がなくなるなどの症状がみられることがあります。
創傷治癒遅延
傷口がなおりにくくなる場合があります。手術を受ける予定がある患者さん、手術を受けて間もない患者さんは、そのことを必ず担当医や看護師、薬剤師などに伝えてください。

このほかにも気になる症状があれば、主治医や薬剤師にご相談ください。

2023年2月作成 SUT47M001A