pNETはどんな病気?

pNET(pancreatic Neuroendocrine Tumor; 膵神経内分泌腫瘍)は、悪性腫瘍、つまり「がん」の仲間です。
pNETからp(膵臓を意味します)を取ったNET(神経内分泌腫瘍)は神経細胞やホルモンなどを分泌する内分泌細胞から発生するがんの総称です。NETは膵臓、消化管(胃、十二指腸、小腸、盲腸、大腸)、肺などの様々な臓器にできるがんです。この中で膵臓に発生するNETをpNETと呼んでほかのNETと区別しています。
それではpNETとはどんな病気でしょうか。
pNETのことが理解しやすくなるために、膵臓がどんな臓器かを説明しましょう。
膵臓は胃の後ろにある15cmぐらいの臓器で、私たちが生きていくために大切な2つの働きをしています。
1つは食べたものの消化です。食事をすると膵液(消化液)が膵臓で作られ、膵管という管を介して小腸に分泌して、食べ物の消化吸収を促します。
もう1つの働きは膵臓の中にあるランゲルハンス島という部分でインスリンなどを分泌して血糖をコントロールします。この働きが低下すると糖尿病が発症したり、もともと糖尿病がある人は血糖コントロールが悪化したりします。
「膵臓のがん」というと、膵がんを思い浮かべてはいませんか。
膵がんの多くは膵管の細胞から発生する膵管がんで膵臓にできるがんの8割以上を占めています。そのため、一般的に膵がんという場合は、膵管がんのことを指しているのが普通です。一方のpNETは多くはランゲルハンス島の細胞から発生します。膵臓にできるがんの中で、pNETはおよそ1.1%といわれ、膵管がんに比べるととても珍しいがんということになります。こうした珍しいがんは「希少がん」と呼ばれます。pNETは希少がんの代表ともいえます。
一般的にNETには、がん組織から分泌されるホルモンにより特徴的な症状が現れる場合(「機能性腫瘍」)と症状がない場合(「非機能性腫瘍」)に分けることができます。機能性pNETではインスリンが過剰に分泌されることによる低血糖症状や、ガストリンが過剰に分泌されて出現する胃酸過剰分泌症状(胃・十二指腸潰瘍、下痢)などが代表的です。

監修:九州大学大学院医学研究院 病態制御内科学 准教授 伊藤 鉄英 先生